株式会社建築工房グエル

防火設備の設置が不要となる場合、あるいは必要数を減らす方法2

実際に避難安全検証法の計算を行うと分かるのですが、伝播経路の途中に全く防火設備が存在しないと、その経路の煙降下時間はだいたい1分未満~2分程度がほとんどになってしまいます。その一方で避難時間は階検証だと5分~10分程度となります。つまり、防火設備を設けないと検証判定がNGになってしまいます。

それゆえ、煙伝播経路の途中に防火設備(常閉もしくは煙感知器で閉鎖)を設けることは判定をOKにするために最も基本、かつ有効な対策です。 
ただ、防火設備が設置されていなくてもその経路の煙降下時間が避難時間より長くなる場合ことがあります。

その一つが火災室と伝播室・最終室の規模、面積の差が大きい場合です。 
煙の発生量も蓄煙量もその室の面積から算定されます。もし、火災室に比べて伝播室あるいは最終室の面積が相当広い場合、蓄煙量が伝播量より相当勝るため煙降下時間も避難時間より長くなります。具体的な例としてはスーパーマーケットにおける各作業室と売場の関係です。スーパーマーケットの作業室はだいたい50m2前後ですが売場は1,000m2から2500m2程度にまでなります。これほどの差になると売場の蓄積量が各作業室からの伝播量を大幅に上回り防火設備を設けなくても判定に影響されないことになります。

もう一つは「伝播室」あるいは「最終室」に強力な排煙設備が設けられている場合。 
ただし、通常の仕様設計で設けられているような自然排煙窓では到底間に合いません。床から天井面まで開放されたような開口部が必要になります。非現実的な対策のようですが、ホームセンターにあるような庇下売場において開放されている部分を自然排煙窓とみなせるなら売場側の建具には防火設備の設置を不要にできた例があります。

ただ、「スーパーマーケット」や「ホームセンター」も上記にあげた経路については防火設備を外せてもやはりどこかには設置が必要になることがほとんどです。 
その設置数をなるべく減らす方法については「防火設備の設置が不要となる場合、あるいは必要数を減らす方法(3)」をご覧ください。

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