株式会社建築工房グエル

自然排煙方式の場合の排煙量算定について

1.煙降下時間算定式の中での排煙量の位置づけ

避難安全検証法の計算の中で「居室の出口の通過に要する時間(tqueue)」と同等かあるいはそれ以上に難解な自然排煙量の算定についてその計算の流れを解析したいと思います。

まず、煙降下時間算定式の中での自然排煙量算定部分の位置づけについて。 煙降下時間tsの算定式は次のようになっています。


ts 煙降下時間(分)
Aroom 室の面積(m2)
Hroom 室の基準点から平均天井高さ(基準点は床面で最も高い位置)(m)
Hlim 基準点からの限界煙層高さ(居室及び階の出口を有する室の場合は1.8m)(m)
Vs 煙等発生量(m3/分)
Ve 有効排煙量(m3/分)

煙伝播経路上の室ごとにこの式から煙降下時間を用い居室、階、全館の煙降下時間を算定します(居室単位の検証ではHlimは1.8mの固定値になります)
算定式の中で分子部分は「床面積(Aroom)」を「煙が溜まる空間の高さ(Hroom-Hlim)」で乗じている、つまり蓄煙体積を算定します。 
分母は「煙の1分当たりの供給量」から「1分当たりの排煙量」を差し引く、つまり、1分辺りの煙の供給量を算定します。
以上からこの式は「蓄煙可能な部分が煙で充満するまでの時間」を算定することになります。

排煙方式が蓄煙方式(無排煙方式)ならVe=0となり、排煙量の計算を行う必要はありませんが、検証判定をOKにするために自然排煙方式、機械排煙方式、第二種排煙方式を採用している場合は有効排煙量Veとして排煙量の計算を行う必要が生じます。
そして、排煙量の計算は排煙方式によって異なる式が提示されており、特に自然排煙方式では排煙窓の位置、寸法が計算に影響する他、計算式自体が複雑なため算定にはやや心構えが必要です。
その自然排煙方式の計算の流れを「建築工房グエル」なりに解析を行ってみます。

2.有効排煙量の算定に必要な情報へ

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