自然排煙方式の場合の排煙量算定について
5.排煙量Eの算定の流れ
排煙量Eは排煙窓が持つ排煙能力の数値になります。排煙窓が1つだけの場合は計算式へ寸法等の数値を当てはめればすぐに算定ができます。しかし、排煙窓が複数ある場合は計算の流れがかなり複雑になるので注意が必要です。
排煙窓が複数配置されている場合は次のように計算を行います。
(1)一つの排煙窓に対して「同区画内」にあり「同時に開放」し、かつ、「30m以内にある」排煙窓を抽出します(以後、「計算グループ」とします)。
例えば下図の場合で排煙窓[1]と[2][3][4]は別開放とします。
そして、[2]から見て[4]は30m以上離れた位置にあるとすると[2]の計算グループは[3]のみとなります。
「同時に開放」「30m以内にあるかどうか」という条件があるため、計算グループに含めるかどうかは計算を行う排煙窓によって異なる可能性があります。下図の例だと[3]の計算グループは[2]と[4]が含まれますが、[4]の計算グループは[3]のみとなります。
※同区画内に配置されている排煙窓が全て「同時開放」し、それぞれの排煙窓から「30m以内にある」のであればグループ分けは必要ありません。
(2)各排煙窓の個別排煙量「e」を計算式にて算定します。ただし、各個別の排煙量の計算であっても式の中に(1)で定めた計算グループの合計面積(ΣAs)があるので注意が必要です。算定式の詳細は後述します。
(3)次に各計算グループでの個別排煙量を算定します。
排煙面積の合計(ΣAs)は各計算グループで異なる数値となりますが、各個別の排煙量を算定する式の中に「ΣAs」があるため、グループごとの個別排煙量を算定する必要があります。つまり、同じ排煙窓でも計算グループによって個別排煙量の数値が異なる場合があることなになります。
(4)各排煙窓の個別排煙量に計算グループの各排煙窓の排煙量を加算します。
(5)計算グループの排煙量を加算した各個別の排煙量の中で最小値のものがその区画での排煙量になります。
※この計算の流れは同区画内に別開放の排煙窓がある、あるいはある排煙窓から30m離れた位置に排煙窓がある場合のものです。全て同時開放かつ、30m以内の位置にあるのであれば各個別の排煙量算定は1回で済むことなになります。