株式会社建築工房グエル

自然排煙方式の場合の排煙量算定について

4.排煙効果係数A*の算定式

室が防煙区画されている場合は排煙効果係数A*を算定します。
排煙効果係数A*の算定式は防煙垂壁と排煙窓の位置関係によって異なるものとなっています。

排煙窓の上端が防煙垂壁の下端より下方にある場合


    防煙区画に設けられた有効開口部の上端の室の基準点からの平均高さ(m)
Htop   防煙区画の基準点からの天井高さのうち最大のもの(m)
Hlim   基準点からの限界煙層高さ(居室及び階の出口を有する室の場合は1.8m)(m)

排煙窓の上端が防煙垂壁の下端より上方にある場合


    防煙区画に設けられた有効開口部の上端の室の基準点からの平均高さ(m)
Htop   防煙区画の基準点からの天井高さのうち最大のもの(m)
Hlim   基準点からの限界煙層高さ(居室及び階の出口を有する室の場合は1.8m)(m)
Hw     防煙区画内で最も高い位置にある垂壁下端位置の基準点からの高さ(m)
Asc     防煙区画の面積(m2)
Aroom   室の床面積(m2)

排煙効果係数の数値は大きいほど有効排煙量も多く算定されるため、「排煙窓の上端が垂壁下端より上方にある場合(≧Hw)」の算定式の方が大きな効果を期待できます。つまり、防煙垂壁が溜める煙層に排煙窓があれば効果が大きく得られる計算式、煙層より下にあればあまり排煙効果は期待できない計算式を採用することになります。
そして、垂壁より排煙窓が下にある場合の算定式は防煙区画無し場合の計算式と同じものになっています。
それでは一つ一つの項目について見ていきます。

(1)防煙区画に設けられた有効開口部の上端の室の基準点からの平均高さ
排煙窓が一つならば排煙窓の上端の床面から位置になります。床面に段差があれば最も高い位置からの距離になることに注意してください。

排煙窓が複数あり、それぞれのが異なる場合は平均値を算定します。ただし、単純にのみの平均値でなく、排煙窓の限界煙層高さより上にある部分の面積(有効開口部面積)(As)で按分した平均値を算定する必要があります。
計算式は『2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説』P69にて次のものが提示されています。


As 有効開口部面積

Asの部分は限界煙層高さHlimによって変化します。結果としても限界煙層高さによって変化する値となります。また、の定義では有効開口部に「同時に開放」や「30m以内の位置にあること」などの制限がありません。したがって、区画内に配置されている排煙窓は全て計算対象となります。

(2)Htop 防煙区画の基準点からの天井高さのうち最大のもの(m)
防煙区画内で最も高い位置にある天井高さです。床面に段差があれば最も高い位置からの距離になります。

(3)Hlim 基準点からの限界煙層高さ(居室及び階の出口を有する室の場合は1.8m)(m)
居室単位の検証を行っているなら1.8m、階・全館検証なら建具の寸法や性能などによって定まる数値になります。

(4)Hw 防煙区画内で最も高い位置にある垂壁下端位置の基準点からの高さ(m)
垂壁の下端位置。垂壁に高さの違いある場合は区画内で最も高い位置にあるもの。床面に段差があれば最も高い位置からの距離。

(5)Asc 防煙区画の面積(m2)
計算中の防煙区画の面積。

(6)Aroom 室の床面積
同じく計算中の室の面積。

排煙効果係数は次のような場合に排煙効果が高いものと算定される式になっています。

・排煙窓が天井面に設置された場合(=Htop)
煙は上方から溜まるものとされているため、排煙窓も天井面に設置されると効果が高いと判断されます。
・垂壁の下端位置が排煙窓の上端より下にある場合(>Hw)
垂壁によって形成された煙層内に排煙窓があると効率よく排煙するものと判断されます。

5.排煙量Eの算定の流れ

避難安全検証法に関してのご相談、適用診断等はこちらまでご連絡ください。

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