関連する法律・条例 適用除外編
建築基準法施行令第126条の3(構造)
第126条の3は排煙設備の構造に関する条例です。「階避難安全性能」を有していることを確認できると適用除外とすることができます。
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(構造)
第一二六条の三 前条第一項の排煙設備は、次に定める構造としなければならない。
一 建築物をその床面積五百平方メートル以内ごとに、防煙壁で区画すること。
二 排煙設備の排煙口、風道その他優に接する部分は、不燃材料で造ること。
三 排煙口は、第一号の規定により区画された部分(以下「防煙区画部分」という。)のそれぞれについて、当該防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が三十メートル以下となるように、天井又は壁の上部(天井から八十センチメートル(たけの最も短い防煙壁のたけが八十センチメートルに満たないときは、その値)以内の距離にある部分をいう。)に設け、直接外気に接する場合を除き、排煙風道に直結すること。
四 排煙口には、手動開放装置を設けること。
五 前号の手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面から八十センチメートル以上一.五メートル以下の高さの位置に、天井から吊り下げて設ける場合においては床面からおおむね一.八メートルの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。
六 排煙口には、第四号の手動開放装置若しくは煙感知器と連動する自動開放装置又は遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き閉鎖状態を保持し、かつ、開放時に排煙に伴い生ずる気流により閉鎖されるおそれのない構造の戸その他これに類するものを設けること。
七 排煙風道は、第百十五条第一項第三号に定める構造とし、かつ、防煙壁を貫通する場合においては、当該風道と防煙壁とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めること。
八 排煙口が防煙区画部分の床面積の五十分の一以上の開口面積を有し、かつ、直接外気に接する場合を除き、排煙機を設けること。
九 前号の排煙機は、一の排煙口の開放に伴い自動的に作動し、かつ、一分間に、百二十立方メートル以上で、かつ、防煙区画部分の床面積一平方メートルにつき一立方メートル(二以上の防煙区画部分に係る排煙機にあつては、当該防煙区画部分のうち床面積の最大のものの床面積一平方メートルにつき二立方メートル)以上の空気を排出する能力を有するものとすること。
十 電源を必要とする排煙設備には、予備電源を設けること。
十一 法第三十四条第二項に規定する建築物又は各構えの床面積の合計が千平方メートルを超える地下街における排煙設備の制御及び作動状態の監視は、中央管理室において行うことができるものとすること。
十二 前各号に定めるもののほか、火災時に生ずる煙を有効に排出することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
2 前項の規定は、送風機を設けた排煙設備その他の特殊な構造の排煙設備で、通常の火災時に生ずる煙を有効に排出することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものについては、適用しない。
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避難安全検証法を採用する目的で最も多いのが前条の「令第126条の2(設置)」とこの「令第126条の3(構造)」を適用除外とすることです。この2つの条例を適用除外にできることで排煙設備に関する設計の自由度が大幅に上がります。
適用除外できる理由として『2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説』P24に「設置されている排煙設備の構造方法や室の大きさなどを考慮して、火災から発生する煙を有効に排煙できる能力を計算し、煙やガスが降下する時間を求めている」ためとあります。
「階避難安全性能」を有していると排煙設備はその性能を満たす分だけにすることができます。場合によってはほぼ撤廃も可能であるため、設備削減のコストダウンや工程の短縮にもつながります。また、外部への開口部を減らすことができるため、物販店舗においては什器の配置位置の自由度向上、冷凍冷蔵倉庫では断熱効果のアップ、食品工場では衛生管理の容易さに繋がるなど建物の維持管理の面でも大きなメリットがあります。
ただし、防煙区画は計算法の制約から1500m2以内となります。なお、防煙垂壁の高さは300mmから有効となります。
また、外部に開放できる窓を自然排煙窓として検証計算に組み込み、居室の天井高さを低くする手法もあります。
避難安全検証法では小規模の居室は蓄煙体積が確保できないため、規模の大きい居室よりも不利な条件となっています。そのようなことから判定をOKにするため小規模の居室では仕様設計よりも天井が高くなることがあります。
避難安全検証法では外部に面する窓を自然排煙窓として計算する場合、「構造」に関する規定が除外さるため、天井面から80cm以内になくても排煙として有効とすることができます。
「Hlim」は限界煙層高さと呼ばれるもので居室単位の検証では1.8m、階、全館検証では建具の高さや防火設備の有無によって定まる数値です。その「Hlim」より上部分が排煙として、下部分が給気として働くことになります。
排煙窓の位置は上部ほど、また、給気の面積は多いほど排煙の効果は高い計算式となっています。
ただし、避難安全検証法を適用した場合、外部に面する窓を自然排煙窓として計算する場合は「令第126条の3(構造)」は全て除外できるわけではなく「自然排煙関係規定」としていくつか規定を満たすことが必要とされることがありますので事前にご確認ください。
避難安全検証法を適用した場合は100m2以下の居室であっても検証計算の対象となります。建設省告示1436号「火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分」を根拠にして、検証計算を行わずに排煙設備の撤廃はできません。