関連する法律・条例 告示編
建設省告示1441号(国土交通省告示 704号)-第1
平成12年建設省告示第1441号(階避難安全検証法に関する算出方法を定める件)の第1は
居室単位の検証で「避難を開始するまでの時間」の算定方法を示した部分です。
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平成12年5月31日建設省告示第1441号 改正 平成28年4月25日 国土交通省告示704号
(階避難安全検証法に関する算出方法等を定める件)
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条第3項第一号、第二号、第四号及び第五号の規定に基づき、階避難安全検証法に関する算出方法などを次のように定める。第1 建築基準法施行令(以下「令」という。)第129条第3項第一号イに規定する火災が発生してから在室者が避難を開始するまでに要する時間は、次の式によって算出するものとする。
この式において、tstart 及び Aarea は、それぞれ次の数値を表すものとする。
tstart 火災が発生してから在室者が避難を開始するまでに要する時間(単位 分)
Aarea 当該居室及び当該居室を通らなければ避難することができない建築物の部分(以下「当該居室等」という。)の各部分ごとの床面積(単位 m2)
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告示1441号の第1では居室単位の検証における「火災が発生してから在室者が避難を開始するまでに要する時間」の計算式が示されています。
階避難安全検証法は「居室単位の検証」「階全体の検証」の2段階に分かれています。
「居室の避難開始時間(tstart))」は面積のみから算定を行う計算式となっています。その理由について『2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説』P35には次のような記載があります。
「火災の覚知時間は・・・(略)・・・複雑な計算式が必要とされるため、簡易な検証法としては適切ではない。・・・(略)・・・従来の避難計算において定められていたものと整合するように避難開始時間を定める。」
ここの「従来の避難計算」は『2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説』の「刊行によせて」の記載から「防災計画書」を指すものと思われます。
計算式に居室の面積を入れれば居室の避難開始時間は算定できますが、その面積について注意が必要です。
計算式の面積部分には「Aarea」という記号が割り当てられており、その定義は単純に「当該居室」に加え「当該居室を通らないと避難することができない建築の部分(以下、当該居室等)」とあります。
次の例の場合「打合室」は「事務室」を通過しないと避難できません。したがって、「事務室」のAareaは「事務室の面積」+「打合室の面積」になります。
次のように「打合室」が直接廊下へ避難可能であるように扉を追加すると「事務室」のAareaは「事務室の面積」のみとなります。
「当該居室等」の部分は小さい方が居室の避難開始時間も短くすることができます。実務的には「当該居室等」の部分が計算を行っている居室(当該居室)以上の面積になるとその居室の検証判定はOKにすることが難しくなってきます。そのため、「居室内室」の部分はなるべく小さくする、あるいは発生しないような計画とした方が望ましいことになります。