関連する法律・条例 告示編
建設省告示1440号 (国土交通省告示 707号)
平成12年建設省告示第1440号(火災の発生のおそれの少ない室を定める件)は避難安全性能を確認する際、ある室が火災のおこりうる室かどうかの指標となる告示です。
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建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の第2項の規定に基づき、火災の発生のおそれの少ない室を次のように定める。
建築基準法施行令第129条第2項に規定する火災の発生のおそれの少ない室は、次の各号のいずれかに該当するもので、壁及び天井(天井がない場合にあっては屋根)の室内に面する部分の仕上げを同令第128条の5第1項第二号に掲げる仕上げとしたものとする。
一 昇降機その他の建築設備の機械室、不燃性の物品を保管する室その他これらに類するもの
二 廊下、階段その他の通路、便所その他これらに類するもの
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避難安全性能は室で発生した火災による煙が降下するまでの間に避難者の避難が終了できるかどうかどうかを確認するもので、その室が「火災室」になりうるかどうかの判断が告示1440号に示されています。火災室になるのであれば、そこから煙が発生した場合の煙降下時間を算定する必要があります。
また、避難安全検証法での計算では火災室に屋外や階段への扉があれば「階の出口」として、階避難時間の算定では一つ使用できなくなるという計算の流れもあります。
そのため、その室が火災室かどうかは検証計算を行うにあたりあらかじめ決定しておく必要があります。
居室、恒常的に作業を行う室は必ず火災室になります。また、内装仕上げが「準不燃材」に満たないものは使用状況にかかわらず火災室になります。
内装仕上げ材の種類に関する考察は次のページをご覧ください。
「内装仕上げ材の影響」
使用状況による判断では、告示1440号には次の具体例が示されています。
・昇降機などの建築設備の機械室」
・不燃性の物品を保管する室
・廊下
・階段
・通路
・便所
これだけでは具体例が少ないことから、『2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説』P34には上記以外の具体例、「その他これに類するもの」が表によって示されています。
表3.21
告示に示されている室 | 空間の特徴 | その他これらに類するもの | |
第一号 | ①昇降機その他の建築設備の機械室 ②不燃性の物品を保管する室 |
燃えるものが極めて少ない。 基本的に在室者がいない。 |
燃えるものが極めて少ない。 基本的に在室者がいない。 |
第二号 | ①廊下、階段その他の通路 |
燃えるものが極めて少ない。 在室者が長時間継続的に利用しない。 |
玄関、エントランスホール、EVホール、階段付室、風除室、車路、エスカレーター |
実際、建築確認申請時での計算書の確認では室名で火災室かどうかを判断されることがほとんどです。例えば設計者が「不燃性の物品を保管する室」と意図していてもその室名が「倉庫」だと火災室扱いと判断されることが多いようです。この場合、室名は「不燃物収納室」や「ビン類保管室」といった保管するものを具体的に示したものとすることが必要となります。
また、「エントランスホール」は火災のおそれの少ない室にできますが、エントランスホール内の一部分が応接や打合せコーナーなどがあると居室及び火災室扱いとなります。