株式会社建築工房グエル

関連する法律・条例 告示編
建設省告示1441号(国土交通省告示 704号)第3(その1)

平成12年建設省告示第1441号(階避難安全検証法に関する算出方法を定める件)の第3は居室単位の検証で出口を通過するために要する時間の算定方法を示した部分です。
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第3

令第129条第3項第一号ハに規定する在室者が当該居室の出口を通過するために要する時間は、次の式によって算出するものとする。

数式

この式において、tqueue、p、Aarea、Neff 及び Beff は、それぞれ次の数値を表すものとする。

tqueue 

在室者が当該居室の出口を通過するために要する時間(単位 分) 

p

在館者密度(単位 人/m2) 

Aarea

当該居室等の各部分ごとの床面積(単位 m2) 

Neff

有効流動係数(単位 人/分・m) 

Beff

有効出口幅(単位 m)

2 前項の有効流動係数は、当該居室の出口に面する部分(以下「避難経路等の部分」という。)及び収容可能人数に応じ、それぞれ次の表に掲げる式によって計算するものとする。ただし、当該居室の出口の幅が60cm未満である場合においては、有効流動係数は、零とする。
避難経路等の部分 避難経路等の部分の収容可能人数 有効流動係数
当該居室の出口が直接地上に通ずる場合   数式
その他の場合 数式の場合 数式
数式の場合 数式

この表において、Neff、Aco、an、p、Aload、Bneck、Broom及びBloadは、それぞれ次の数値を表すものとする。 

Neff

有効流動係数(単位 人/分・m)

Aco

当該避難経路等の部分の各部分ごとの床面積(単位 m2)

an

避難経路等の部分の区分に応じて次の表に掲げる数値

避難経路等の部分 必要滞留面積(単位 m2/人)
階段の附室又はバルコニー 0.2
階段室 0.25
廊下その他の通路 0.3
   
p 在館者密度(単位 人/m2)

Aload

避難経路等の部分を通らなければ避難することができない建築物の部分ごとの床面積(単位 m2)

Bneck

当該居室の出口の幅又は避難経路等の部分の出口(直通階段又は地上に通ずるものに限る。)の幅のうちどちらか小さい方のもの(単位 m)

Broom

当該居室の出口の幅(単位 m)

Bload

避難経路等の部分を通らなければ避難することができない建築物の部分の当該避難経路等の部分に面する出口幅の合計(単位 m)

3 第1項の有効出口幅は、当該居室の出口の幅とする。ただし、当該出口の幅が、当該居室の出口の幅のうち最大のものである場合は、その1を在室者が当該居室の出口の1に至る時間に応じ、それぞれ次の表に掲げる式によって計算した数値とする。
数式の場合 数式
数式の場合 数式

この表において、treach、αf、αm、Beff、及びBroomは、それぞれ次の数値を表すものとする。

treach

次の式によって計算した在室者が当該居室の出口の1に至る時間(単位 分)

数式
 
この式において、treach、Aarea、ll及びv は、それぞれ次の数値を表すものとする。

treach

在室者が当該居室の出口の1に至る時間(単位 分)

Aarea

当該居室等の各部分ごとの床面積(単位 m2)

ll

当該居室等の各部分から当該居室の出口の1に至る歩行距離(単位 m)

v

歩行速度(単位 m/分)

αf

当該居室の積載可燃物の1m2当たりの発熱量に応じ、それぞれ次の表に掲げる式によって計算した数値

数式の場合 数式
数式の場合 数式

この表において、qlは当該居室の積載可燃物の1m2当たりの発熱量(単位 MJ/m2)を表すものとする。

αm

当該居室の壁(床面からの高さが1.2以下の部分を除く。)及び天井(天井がない場合にあっては屋根)の室内に面する部分(廻り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。)の仕上げの種類に応じて次の表に掲げる数値

不燃材料でした仕上げ 0.0035
令第128条の5第1項第二号に掲げる仕上げ 0.014
令第128条の5第1項第一号に掲げる仕上げ 0.056
木材その他これに類する材料でした仕上げ 0.35

Beff

有効出口幅(単位 m)

Broom

当該居室の出口の幅(単位 m)

4 第1項の在館者密度は、建築物の部分又は居室の用途に応じ、それぞれ次の表に掲げる数値を用いるものとする(第2項並びに第7第1項及び第2項において同じ)
居室の種類 在館者密度(単位 人/m2)
住宅の居室 0.06
住宅以外の建築物における寝室 固定ベッドの場合 ベッド数で床面積を除した数値
その他の場合 0.16
事務室、会議室その他これらに類するもの 0.125
教室 0.7
百貨店又は物品販売業を営む店舗 売場の部分 0.5
売場に附属する通路の部分 0.25
飲食室 0.7
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類する用途に供する室 固定席の場合 座席数を床面積で除した数値
その他の場合 1.5
展示室その他これに類するもの 0.5

 

5 第3項の積載可燃物の1m2当たりの発熱量は、当該室の種類に応じ、それぞれ次の表に掲げる数値を用いるものとする。
室の種類 発熱量(単位 MJ/m2)
住宅の居室 720
住宅以外の建築物における寝室 240
事務室その他これに類するもの 560
会議室その他これに類するもの 160
教室 400
体育館のアリーナその他これに類するもの 80
博物館又は美術館の展示室その他これらに類するもの 240
百貨店又は物品販売業を営む店舗その他これらに類するもの 家具又は書籍売場その他これらに類するもの 960
その他の部分 480
飲食店その他の飲食室 簡易な食堂 240
その他の飲食室 480
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会室その他これらに類する用途に供する室 客席部分 固定席の場合 400
その他の場合 480
舞台部分 240
自動車車庫又は自動車修理工場 車室その他これに類する部分 240
車路その他これに類する部分 32
廊下、階段その他の通路 32
玄関ホール、ロビーその他これらに類するもの 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂若しくは集会場その他これらに類する用途又は百貨店若しくは物品販売業を営む店舗その他これらに類する用途に供する建築物におけるもの 160
その他のもの 80
昇降機その他の建築設備の機械室 160
屋上広場又はバルコニー 80
倉庫その他の物品の保管の用に供する室 2,000


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第3は5つの項目に分かれており、それぞれ次のような内容になっています。

項目 内容
第1項 居室の出口を通過するのに要する時間を算定する計算式の提示
第2項 有効流動係数(出口の通過しやすさの目安)の算定方法
第3項 避難に有効な幅の算定方法
第4項 避難者を算定する際に必要な在館者密度を用途別に提示
第5項 可燃物がどれくらいの量なのか用途別に数値を提示

計算式・方法を示しているのは第1項~第3項までで、第4・5項は計算に必要な数値が表形式で掲げられています。

居室の「出口の通過に要する時間」の算定式は次のような構成となっています。

分子部分は計算対象の人数、分母部分は出口となる扉の1分あたりに通過可能な人数を算定します。

つまり、出口となる扉の前に全ての在室者(避難者)がいる状態から全員が居室を出るまでの時間を求める計算式になっています。

分子部分の計算対象(避難者)の人数算定は第4項に示されている用途別の在館者密度(p)と面積(Aarea)から行います。面積部分の記号は避難開始時間と同じ「Aarea(当該居室等の各部分ごとの床面積)」となっているため、計算を行っている居室を通過しないと避難できない部分も含める必要があります。ただし、避難開始時間と異なり面積を単純に加算するのでなく、部分ごとに「在館者密度(p)×床面積」から人数を求めてから合計することになります。

在館者密度p(人/m2)は第4項の表から決定します。スバリ当てはまる用途が無い場合は「2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説」P42の表3.5.1を参考に数値を定めます。

居室の種類 在館者密度 用途の特徴 その他これに類するものの例
住宅の居室 0.06 居住の目的とするもの 下宿・寄宿舎の居室
住宅以外の建築物における寝室 固定ベッドの数 ベッド数
/床面積
専ら就寝することを目的とするもの。 ホテル・旅館の客室 宿直室・仮眠室
その他の場合 0.16

事務室

 

会議室
その他

0.125

事務の執務に使われるもの

事務室に隣接して設けられた打ち合わせなどに利用されるもの。(貸し会議室は除く。)

学校の教員室・職員室
飲食店の厨房
マーケット等の調理作業室
リフレッシュコーナー、打合コーナー
社長室、役員室、応接室 中央管理室、防災センター
教室 0.7 主に机と椅子を並べて使うもの 小規模の会議室、研修室
百貨店又は物品販売業を営む店舗 売場の部分 0.5 商品の間を自由に移動できるもの。店舗内の通路を含む。 マーケット 遊技場、ゲームセンター
売場に附属する通路の部分 0.25 連続式店舗の共用の通路部分 ショッピングモールの通路部分
飲食室 0.7 主に、机と椅子を並べて、飲食に利用するもの 料理店、レストラン、喫茶店、コーヒーショップ、喫茶室、ティーラウンジ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、カラオケルーム
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他 固定席の場合 座席数
/床面積
主に不特定かつ多数の人が高密度で利用するもの

イベントホール

式場、宴会場
会議場

ディスコ、ライブハウス

その他の場合 1.5
展示室その他 0.5 展示の周囲を自由に回遊できるもの。 図書館、博物館、美術館、ギャラリー、ショールーム

 

この表に当てはまらない用途については審査機関と協議をして数値を定めます。例えば工場の場合だと次の条件などを顧慮して数値を決定します。

・工場部分の面積
・オートメーション化の程度
・従業員は高密度で利用するのかどうか
・従業員数

もし、工場部分の面積が1,000㎡あれば「事務室」用途の数値0.125人/m2を適用すると人数は125名になります。しかし、工場内はオートメーション化が進んでおり高密度での利用者は予定していない上に従業員全体の数が20名程度であった場合、125名もの利用者は実際の使用状況とは乖離した数値になります。一方、告示で示されている数値は使用しないといけないため、最も小さい数値である「住宅居室」の0.06人/m2を採用。その場合、工場内の人数は60名となります。・・・といったような流れで数値を決定します。

また、同室内において使用状況が明確に異なる部分がある場合、「2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説」P41にはそれぞれの部分ごとに合わせた在館者p人/m2から人数を算定して室全体の人数を計算することが記載されています。

分母部分については「関連する法律・条例 告示1441号第3(その2)」以降をご覧ください。

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