株式会社建築工房グエル

関連する法律・条例 告示編
建設省告示1441号(国土交通省告示 704号)第3(その2)

居室の出口の通過に要する時間(tqueue)の算定式は次のようになっています。

分子部分(計算対象の人数算定)については「関連する法律・条例 告示1441号第3(その1)」をご覧ください。
ここでは「出口の1分あたり通過可能人数」を算定する際に必要な「Neff」の解説を行います。

分母部分は出口ごとに「出口の通過しやすさ(Neff)」と「避難に有効な幅(Beff)」から「出口の1分あたり通過可能人数」を算定し合計したものとなっています。

「出口の通過しやすさ」は正式には「有効流動係数(Neff)」と呼ばれており、告示代1441号第3の第2項で算定方法が示されています。
具体的に「出口の通過しやすさ」とは「1mの幅の扉の1分あたりに通過可能人数」のことで「避難先が十分広ければ通過しやすいので最も好条件、狭い場合はそれに応じた数値」ということになります。

最も好条件である場合はNeff=90(人/分・m)とされています。つまり、1mの扉幅で1分あたり90人通過可能ということになります。
最も好条件、Neff=90になるのは次のような場合です。
(1)避難先が地上
(2)避難先に避難者が収容可能

「避難先が地上」である場合は無条件にNeff=90となります。また、出口の1ヶ所でも地上への出口であれば、他の出口のNeffも90となることが「2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説」P43に記載されています。

次に「避難先に避難者が収容可能」の場合ですが、まず、避難者を収容可能かどうの評価を行う必要があります。評価を行うには
・避難先の面積
・避難先の使用状況
・避難者の数
の条件が必要です。

「避難先の面積」は「避難経路等の部分の各部分ごとの面積」と定義され記号は「Aco」が割り当てられています。計算を行っている居室の出口に面する部分で直通階段や地上に通じている部分が対象となります。

「避難先の使用状況」は避難先に避難者をどれだけ収容可能かを算定する際の判断材料とします。
収容可能な人数は「一人あたりの必要な面積」として「an」の記号が割り当てられており、次のように数値が定められています。

避難経路等の部分 必要滞留面積(単位 m2/人)
階段の附室又はバルコニー 0.2
階段室 0.25
廊下その他の通路 0.3

なお、避難先が「居室」となる場合は「2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説」P47の記載から「廊下その他の通路」の数値を用います。

この数値と避難先の面積(Aco)から「計算を行っている居室」の収容可能人数を算定します。

次に「避難経路等の部分」へ避難する人数を算定します。人数は「計算を行っている居室」だけでなく、他の居室からの避難者も考慮しなくてはならない場合があります。そのため、避難経路への避難者を算定する部分の記号は「ΣpAarea」でなく「ΣpAload」になっています。「Aload」の定義は「避難経路等の部分を通らなければ避難することができない建築物の部分ごとの床面積(単位 m2)」とされています。
例えば次の図のようなプランの場合、「計算を行っている居室」の避難先は「廊下」になりますが、「他居室A」と「他居室B」もこの「廊下」以外の避難経路がありません。そのため、人数の算定は「計算を行っている居室」に加え「他居室A」と「他居室B」も加算しなくてはなりません。

ここで「避難先の収容可能人数 」と「避難先への避難者数」を告示1441号第3第2項の表に照らし合わせて比較します。

避難経路等の部分 避難経路等の部分の収容可能人数 有効流動係数
当該居室の出口が直接地上に通ずる場合  
その他の場合 の場合
の場合

収容可能人数の方が多い、つまり、避難者数を全て収容可能でれば有効流動係数Neffは最大値の「90」とすることができます。これは出口となる全ての扉に適用できます。
収容可能人数の方が小さい、避難者数を全て収容できない場合は出口となる扉ごとに有効流動係数の数値を計算して求める必要が生じます。
その計算式は

という相当複雑な計算式となっています。
ここで「Bneck」「Broom」「Bload」が初めて出てくる記号になります。

Bneck」の定義は「当該居室の出口の幅又は避難経路等の部分の出口(直通階段又は地上に通ずるものに限る。)の幅のうちどちらか小さい方のもの」とされています。

居室の出口が複数ある場合、Neffは出口となる扉ごとに算定するため計算中の扉と避難先の出口とで比較を行います。

Broom」の定義は「当該居室の出口の幅」となっています。つまり、Neffを計算している居室出口の扉幅となります。

Bload」の定義は「避難経路等の部分を通らなければ避難することができない建築物の部分の当該避難経路等の部分に面する出口幅の合計」とされていますので、「計算を行っている居室」の避難先への出口に加え、その避難先に面する他居室の出口の幅を合計した数値になります。

避難先が複数あればそれぞれの条件に当てはめて計算を行います。詳しくは「2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説」P48をご覧ください。

以上の数値を当てはめ出口となる扉ごとに有効流動係数(Neff)を算定します。

有効出口幅(Beff)の算定については「関連する法律・条例 告示1441号第3(その3)」をご覧ください。


避難安全検証法に関してのご相談、適用診断等はこちらまでご連絡ください。

お問い合わせ
↑上に戻る