株式会社建築工房グエル

02 直通階段の範囲

■直通階段はどこからか
避難安全検証法(ルートB1)の階・全館煙降下時間算定では直通階段直前の室において煙が限界煙層高さまで降下する時間を求めます。また、階避難時間では直通階段への出入口までの経路や、その出入口の幅を用いて算定を行います。

そのようなことから、直通階段の範囲をどこに定めるかで計算の内容及び結果が大きく異なってきます。 直通階段が壁や扉でしっかり区画されていれば明確に直通階段の範囲は判断できます。しかし、竪穴区画が必要でない直通階段の場合、意匠図では線一本引かれていたとしても、実際には物理的な境界を示すものはなく、範囲があいまいなことがあります。もし、直通階段が面している、図面上は「廊下」と称した部分を含めて直通階段の範囲とすると居室~廊下の建具を防火設備としても、その効果は現れず判定がNGになることがあります。 そのためか、近年の審査では直通階段の範囲を明確にするため、直通階段とそれに面する室との間には壁や垂壁・扉による区画を求められることがあります。

■新たに加わった適用例での直通階段
2023年3月に発行された『避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説』(以下、新解説書と称します)では新たに「物販店舗」と「物流倉庫」が加わっています。その「物流倉庫」の例の中で直通階段の範囲で気になるものがありました。 それは外部階段の範囲についてです。

外部階段で赤い範囲の部分は別室と判断され「前室」的な扱いとされていました。また、この件について次のような記載があります。

2,3階の外部階段バルコニーには屋根や庇などがついていないが、接続する倉庫5の梁天の最低高さと設定して検証を行う

つまり、屋根・天井面が無く、かつ、階段側とは物理的な区画がなくても「前室」的な空間として扱うものとして検証していることになります。

■外部階段ゆえの扱い?
この適用例の場合、外部階段のためバルコニー部分にも煙は蓄積することは考えられず、それゆえ仮想的な天井面を想定して検証を行ったものと推定はできます。
しかし、新解説書の他部分などを読み合わせると、どうしても「階」避難安全検証法時において居室に直通階段が直接面しているような例を示すことは避けたい意図も読み取れます。

ポイント
「外部階段のバルコニー的な部分(上下階からの通過者と干渉しない部分)」は前室として直通階段部分と別室として計算できる。


※内容は予告無く変更する場合があります。
※記載する内容については告示の文章・計算式から判断した建築工房グエル独自の判断になります。


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