株式会社建築工房グエル

 

03 当該居室等(Aarea)

■当該居室等
避難安全検証法(ルートB1)の居室避難時間の算定で床面積の範囲は計算している居室(当該居室)だけでなく、その居室に「当該居室を通過しないと避難することができない建築物の部分(以下、「当該居室等」)」があれば、その部分の面積を加える必要があります。居室の煙降下時間の「当該居室の床面積」とは範囲が異なるので注意が必要でその記号も「当該居室等の各部分の面積」は「Aarea」、「当該居室の床面積」は「Aroom」と違ったものが割り当てられています。

■非居室の扱い
この「Aarea」は居室避難開始時間(tstart)と居室出口通過時間(tqueue)の算定時に利用しますが、居室出口通過時間では必ず在館者密度pと掛け合わせられたpAareaという形で用いられるため、もし、上図の「室B」が非居室であった場合、0人となることから「室B」を「Aarea」の対象とするかどうかは計算結果自体には影響しませんでした。しかし、避難開始時間の算定では「Aarea」単独で用いるため非居室を含めるかどうかで計算結果が大きく異なることになります。そして、非居室を含めるかどうかは『2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説』(以下、旧解説書と称します)では明示されず、「Aarea」の定義が「当該居室を通過しないと避難することができない建築物の部分(以下、「当該居室等」)」とされており、この「建築物の部分」の表現から判断していたことから弊社では倉庫や冷蔵庫などは非居室であっても含めて検証計算を行っていました。

■新解説書では
ところが、2023年3月に発行された『避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説』(以下、新解説書と称します)のP50では「非居室(避難経路である部分を除く)である場合には当該居室等に含めなくてよい」と明示されています。また、新解説書P276にも「Aareaについては居室避難開始時間を算定するものであることから、階避難開始時間のAarea(floor)(質疑応答集No.22)【注1】とは異なり、収納庫やサーバー室などの非居室を含めなくても差し支えありません」とされています。
つまり、非居室部分(避難経路は除く)は居室単位の検証ではAareaの対象外とすることが明文化されたことになります。

(階避難開始時間の算定においても対象外になるかどうかは「火災の発生のおそれの少ない」ことと「廊下や階段など通路や便所に類するもの以外」(質疑応答集No.24)であることが必要です)

 

【注1】「質疑応答集No.22」は旧解説書でのナンバーで、新解説書ではNo.24が該当するものと思われます。
正誤表_2023.7.19」でも修正されていませんでした。

ポイント
非居室で避難経路でなければ居室単位の検証においてAarea(room)の対象外とできる。ただし、階全体の検証時のAarea(floor)まで対象外とするにはさらに条件(非火災室で通路、階段、トイレの類以外)が必要。


※内容は予告無く変更する場合があります。
※記載する内容については告示の文章・計算式から判断した建築工房グエル独自の判断になります。


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