株式会社建築工房グエル

09 1室の範囲

■どこまでが1室か
避難安全検証法(ルートB1)は煙降下時間を室単位で計算します。室の面積は規模が大きいほど煙降下時間も長く算定される傾向にあり、判定には有利側に働くことになります。【注1】
例えば、給湯室部分を有する事務室の場合、1室の範囲を「事務室+給湯室」【注2】とするか「事務室」のみとするかで判定結果に違いが出ることがあります。

【注1】避難安全検証法の計算は火災時のものを想定しています。そのため防火設備のシャッターなどで区画される場合はそれぞれ別室扱いとなります。
【注2】「事務室+給湯室」の場合、在館者密度や積載可燃物の発熱量もそれぞれの用途の平均値で計算します。

■旧解説書での判断
1室とするか別室とするかの判断は『2001年版 避難安全検証法の解説及び計算例とその解説』(以下、旧解説書と称します)では次の部分などで判断を行っていました。

旧解説書 新解説書
掲載ページ 記載内容
P34 室の一部が天井から床までのしっかりとした間仕切壁で仕切られている部分は、独立した室として扱うことになる。一方、低い間仕切りなどで区切られている部分は、一体適な利用がなされ、同時に避難行動が想定されるならば、全体を1つの室として扱うことになる。 記載無し
P35 火災時に閉鎖状態となる防火設備により区画される場合、区画された部分を1つの居室とする。 記載無し
P62 防煙垂れ壁の下端が床面より1.8m未満である場合は、防煙垂れ壁により区画された室ごとに・・・ そのまま
P253 室の大きさ、開講の大きさによって判断することになります。例えば、開講の大きさが通常考えられる出入り口程度の大きさであれば、2つの居室とみなします。また、開口が大きくなれば1室の居室とします。 記載内容変更


■新解説書では
『避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説』(以下、新解説書と称します)では旧解説書のP34、35の記載は無くなり、新解説書P32の「その他運用上の注意事項等」で区画壁の扱いなどが細かく記載されています。
旧解説書P62の垂れ壁による区画についての記載は新解説書P90に同じ内容で記載があります。
旧解説書P253の質疑応答8は新解説書では質疑応答9(P277)となり、記載内容が大幅に変わっています。

間仕切壁や開口がどの程度面積があるかなど、新解説書では細かく定義されている部分があるため、1室か別室か判断に迷った場合は事前に審査機関等に相談した方が良さそうです。

■ただし、住戸・ホテルの客室は例外
このように室の範囲が新解説書では細かく規定されていますが、例外的に住戸やホテルの客室は間仕切りがあっても1室としてよいものとされています。記載は新解説書P34にあり、住戸の場合は200㎡以内、ホテルの客室の場合は100㎡以内であれば、内部に設けられる間仕切壁は無いものとみなすことができるそうです。【注3】

【注3】新解説書P276質疑応答8にもこの件についての記載があります。

ポイント
1室の範囲について判断に迷った場合は審査機関に相談しましょう。


※内容は予告無く変更する場合があります。
※記載する内容については告示の文章・計算式から判断した建築工房グエル独自の判断になります。

避難安全検証法に関してのご相談、適用診断等はこちらまでご連絡ください。

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