株式会社建築工房グエル

10.検証判定

■検証判定の回数 ルートB1の場合
ルートB1(煙降下時間判定法)での検証判定は次のようになっています。

□居室単位の検証
居室ごとに算定した避難時間と煙降下時間の比較することで検証判定を行います。居室ごとに行うため、検証判定の回数も適用範囲にある居室の数だけ行うことになります。

□階・区画単位の検証
最長の避難時間と最短の煙降下時間をそれぞれ算出し比較することで検証を行います。最長と最短の比較を行うため検証判定は適用階(区画)部分に対しては1回のみということになります。

■検証判定の回数 ルートB2の場合

□居室単位の検証
ルートB2(煙高さ判定法)での検証判定も居室単位の検証では「当該居室において発生した火災により生じた煙又はガス(以下「煙等」という。)の高さ」を算定し、その数値が1.8m以上になるかどうかが検証判定になります。そのため、検証判定の回数も適用範囲になる居室の数ぶんだけ行うことになるものと思われます。

□階・区画単位の検証
ルートB1と大きく異なることが予想されるのは階・区画単位の検証です。
階・区画単位の検証では火災室で火災が発生してから避難が完了した時間における「火災室隣接部分の煙層下端高さ」が1.8m以上になるかどうかで判定【注1】を行います。

【注1】火災室と面していない室の煙層下端高さは隣接部分の煙層下端高さによって定められます。

そのため、まず検証を行う回数は火災室の数が最低の回数【注2】となります。

【注2】適用範囲が居室の1室のみの場合は階・区画単位の検証は不要となるようです。(「建築基準法施行令の一部を改正する政令の施行に伴う避難安全検証法関係告示の制定・改正案に関する意見募集の結果について」より)

また、その火災室に隣接する室が複数ある場合は1室の火災室に対して隣接室している室の数だけ検証判定を行うことになります。

■判定結果がコロコロ変わる?
ルートB2(煙高さ判定法)では避難完了時間は避難経路ごとに出口通過時間を算定し、その中で最長となるものを採用するようになっています。また、各数値を算定する計算式は複数提示されているものがあり、どの計算式を採用するかを判断するために別途計算がさらに必要という計算の部分があります。

そのため、設計変更が発生した場合、変更による検証計算への影響を設計前の状態、採用されている計算式から予測したとしても、採用される避難経路や計算式自体が変わる可能性があることから、予想外の結果が出てくる可能性があります。

例えば(幅の狭い)扉を新たに追加した場合、避難経路上にネックとなる部分が発生→出口通過時間が長くなる→加算時間が発生→制限時間を超えてしまった→煙層下端高さが0m→判定がNG、というような自体になることも予測されます。

特に居室単位の検証では直通階段までの避難経路部分もその居室計算の範囲に入るため、居室から離れた部分の変更でも計算内容に影響することとなります。

以上のことから設計変更に対してはルートB1時以上に注意が必要になってくるものと思われます。


ルートB2はルートB1以上に設計変更時の影響について注意が必要。

※内容は予告無く変更する場合があります。
※記載する内容については告示の文章・計算式から建築工房グエル独自の判断になります。そのため、解説書が発行された際、その内容や国土交通省や審査機関開催の講演等で周知される解釈とは異なる見解となる可能性があります。
※告示476号(全館)については避難時間算定が他の告示によっていることなどから今回はここでは取り上げないものとします。

 

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