区画避難安全検証法における居室の出口について
令和2年4月から区画単位の避難安全検証法の計算方法を示した告示(令和2年国土交通省告示509号)が公布・施行されました。
この告示の中で居室の出口については次のような定義がなされています。
告示509号一-ロから抜粋
『当該居室から当該区画部分以外の部分等(令第128条の6第二項に規定する当該区画部分以外の部分等をいう)に通ずる主たる廊下その他の通路に通ずる出口に限る。』
この「主たる廊下その他の通路に通ずる出口に限る」との記載があるため、「居室」から直接「適用区画」外に通ずる扉は居室の出口として認められないのでは、と判断することもできます。
※階避難安全検証法(告示510号)では居室出口にこのような条件は付加されていません。
一方、居室の出口を通過する時間の算定が定義されている部分(告示509号一-ハ)では「地上への出口を有する場合」でNeff(room)=90人/分/mと示されています。
※Neffは有効流動係数で1m幅の扉が1分あたり何人通過可能かを示した数値
ここまでの記載内容だと居室の出口となる扉は「適用区画外への避難可能な廊下に通ずる扉」と「地上への扉」は使えるものと判断することができます。
さらに、区画全体の計算方法を示した部分では次のような記載があります。
告示509号三-ロから抜粋
『当該区画部分以外の部分等への出口(当該火災室が当該区画部分以外の部分等への出口を有する場合においては、当該火災室の当該区画部分以外の部分等への出口のうち、その幅が最大のものを除く。)』
告示509号三-ハから抜粋
『当該区画部分以外の部分等への各出口(当該火災室が当該区画部分以外の部分等への出口を有する場合においては、当該火災室の当該区画部分以外の部分等への出口のうち、その幅が最大のものを除く。以下このハにおいて同じ。)』
この記載はこれまでの「階避難安全検証法」で『直通階段』だった部分が『当該区画部分以外の部分等』と書き換えられているのみでそれ以外は同じ表現になっています。
つまり、区画全体の検証段階では「火災室に配置された区画以外への扉は避難に使用可能(ただし、火災室ごとの検証では最大幅が一つ使えなくなる場面がある)」ということになります。
また、この段階では「居室」でなく「火災室」と表現が変わっていることにも注意です(避難安全検証法では「居室」は必ず「火災室」になります)。
まとめると次のようになります。
以上、告示の文章のみから判断すると居室から直接区画外に通ずる扉について避難に使用可能かどうかは2023年3月発行の『避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説』でも計算例では明示されていませんが、P16の「1.3 区画避難安全検証法」での例では扉の配置が見受けられます。
2024年2月修正