設計変更を行う前に・・・
検証判定でNGが出る建物にはOKとなるように設計変更等を加えることになりますが、それ以前に計算を行う条件が適正かどうかを確認してみてください。
■屋内なのか屋外なのか・・・
ホームセンターの庇下売場や荷捌きを行う庇下部分はその規模や審査機関によって屋外・屋内扱いの判断が異なります。
屋外・屋外扱いの違いは「階の出口を有する室」の違いにつながり、対策を施すべき部分も異なってきますのであらかじめ確認するようにしてください。
■1室の範囲が適正かどうか・・・
避難安全検証法の計算は「室」単位で行います。そのことから室の範囲がどこまでなのかが非常に重要な条件となります。
例えば、上部が開放されているパーテーションで区画された打合せ室は独立した1室とみなしません。出入口に戸板が設置されておらず、開口幅が広い場合も1室扱いと判断されるようです。ただ、それぞれ具体的な数値が示されているわけではないので最終的には審査機関との合意が必要となってきます。
■居室なのかどうか、火災室かどうか
居室かどうかの判断は他法規との関係で明確かと思われますが、「この室は避難安全検証法的に居室扱いでは?」と指摘がなされる場合もあります。
室名が「倉庫」となっていても不燃物のみを保管するのではれば非火災室にできます。非火災室にできれば煙の発生源を減らすことができるため、計算の手間、物理的な変更の軽減につながります。
■在館者密度や積載可燃物の発熱量の数値が適正かどうか
告示でズバリ示されている用途(例:事務室)なら計算に使用する数値が適正かどうかは判断に迷うことはありません。しかし、明示されている用途は案外少なく例えば「休憩室」や「サービスを提供する店舗(美容室・旅行センター等)」、「工場」の数値は示されていません。数値が示されていない室については使用状況から類似する用途のものをあてはめますが、それが適正かどうかの判断においてある程度の経験が必要になってくるようです(指摘された場合に説明できるかどうか)。
■1室内に異なる使用形態になる部分があるかどうか
部分的に異なる使用状況がある場合は採用する在館者密度・積載可燃物の発熱量の数値も異なる数値を適用します。そして、室全体としては面積按分した数値で検証計算を行います。
例えば「事務室」とある室でもある程度の規模以上では必ず打合せを行う部分や応接コーナーがあるはずです。打合せコーナーや応接コーナーは事務室よりも低い数値が設定されており、部分的に適用すれば、室全体の発熱量も小さくすることができます。