避難安全検証法を適用するメリットと理由
『避難安全検証法を適用すれば避難施設・排煙設備を大幅に削減できる』
避難安全検証法を採用する大きな理由を短くまとめるとそのような表現になりますが、正確には 『避難安全検証法を適用すれば避難施設・排煙設備は性能を満たすのに必要な分だけとなる』 になります。
その性能(避難安全性能)を満たしているかどうかを検証するために避難安全検証法では避難時間と煙降下時間をそれぞれ算定し比較を行うことになっています。
つまり、上記表現をさらに正確を期したものにするならば
『避難安全検証法を適用すれば火災に対する建物の避難安全検性能を確認しながら避難施設・排煙設備は性能を満たすのに必要な分だけとなる』
となるわけです。
そのようなことから「床面積の1/50の面積の排煙窓を設ける」といった仕様設計と異なり、ある前提条件下(火災は1室から)にはなりますが火災に対する安全性を確認しつつ、その結果として避難施設・排煙設備を大幅に削減できることになります。ただ、その代償として避難安全性能を満たすために小規模で可燃物が多いとされる居室では天井を一般的なものより高くしたり、排煙設備が仕様設計より多く必要となる場合があります。
また、避難安全検証法の計算を行うことにより在館者が避難に要する時間や、火災に対して煙の伝播が最も早い経路を把握することができます。これは建物の運用を開始してからの防災計画を立てる上でとても重要な情報となるはずです。
それに加え、仕様設計と異なり「扉や排煙設備がむやみやたらと並んでいる」のでなく、「この扉、排煙設備は性能を満たすために必須なものです」と説明されれば普段の設備に対するメンテナンス・管理への意識も異なるものとなるのではないしょうか。