株式会社建築工房グエル

全館検証でなくても階段は減らせる?

避難安全検証法には「階」と「全館」の2種類があり、設計者は適用除外できる規定に応じて検証法の種類を選択することになります。例えば排煙設備に関する規定を除外したい場合には「階」の検証を適用すればOKで「全館」の適用は必要ありません。それぞれの検証法が緩和できる項目についてはこちらをご覧ください。

では、「階」と「全館」の計算上の違いはどのようになっているのでしょうか。その違いを以下の表にまとめてみました。

表1
※1 適用階を通過しないと避難できない階は非適用階でも面積、避難者数、避難経路が関係します。
※2 全館検証時の場合

このように同じ「避難安全検証法」でも「階」と「全館」では計算内容に大きな違いがあり、判定をOKにする対策も異なるものとなります。特に全館検証は全ての階の検証を判定にOKにしなくてはならない上に「階」では不要である竪穴への煙伝播対策が必要となるため適用のハードルは高いものとなっています。

避難安全検証法を採用する大きな理由の一つに「階段」を減らしたいというものがあります。しかし「直通階段」の数を減らすには「全館検証法が必要なのでは?」とのイメージがあるかもしれません。
確かに「物販店舗における避難階段の幅」に関する規定を除外するには「全」の検証が必要です。
しかし、「直通階段までの歩行距離」に関しては「」の検証で除外可能となっています。

例)正方形に近い形の建物で直通階段までの歩行距離の関係で中央付近に階段の設置が必要となった。

もし、この階段が「直通階段までの歩行距離」の規定を満たすためだけの階段ならば「階」避難安全検証法を適用で廃止することが可能です。
ただし、廃止するには次のような条件を確認してください。
■階避難安全検証法の検証で判定がOKになる。
■二方向避難及び重複距離の仕様設計上の規定は満たしている。
■屋外への出口までの距離のの仕様設計上の規定は満たしている。

このように「階」避難安全検証法適用で排煙設備のみの除外適用だけでなく直通階段を廃止することも可能です。適用に際してはぜひご検討ください。

避難安全検証法に関してのご相談、適用診断等はこちらまでご連絡ください。

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