どんな変更が必要?(煙降下時間への対策編)
避難時間(tescape)と煙降下時間(ts)の差がそれほどでない場合は煙降下時間への対策から行ってみてください。
再度、積載可燃物の発熱量の数値が適切かどうかを確認
前提条件の確認において積載可燃物の発熱量の数値が適切かどうかを確認しましたが、再度チェックを行います。特に室の形状が多角形になっている場合、通路用途に限定されるような部分がないか確認してみてください。
床面に段差がある場合はそのギャップを軽減する
例えば休憩室内に設けた畳コーナーのための数十センチの段差は避難安全検証法の居室計算にとり、かなり不利な条件となります。段差が生じている場合はそのギャップをなるべく少なく、できれば10cm以内となるようにしてください。
内装仕上げ材を「不燃材」にする
内装仕上げ材を「不燃材」にします。避難安全検証法では内装仕上げ材の種類判断は「天井」「床から1.2m以上の壁」から行います。これらの部分を「不燃材」にできるかどうかを検討します。可能ならば煙の発生量を軽減できます。
天井を高くする
天井を高くし、煙を溜める体積を多く確保することで煙降下時間を引き伸ばします。煙降下時間への対策では最も基本、かつ有効な対策です。その結果として小規模な居室(100m2以内)では仕様設計より天井が高くなる傾向になるかもしれません。
外部に開放できる窓があれば自然排煙窓として計算する
性能設計では排煙窓の大きさ、位置に関する規定はなく、取付けられている位置や窓の面積から排煙量を計算します。なるべく高い位置、形状は縦長、給気となる部分がある程度ある方が効率よく排煙できるという計算式になっているようです。
ただし、自然排煙方式では床から天井まで全面的に開放されていない限り排煙量はそれほど多く期待できないことに注意してください。
煙伝播経路のどこかに防火設備を設ける。
前述までの対策は基本的に居室単位の検証のものです。階・全館単位の検証では煙伝播経路のどこかに防火設備を設けることが最も基本的な対策となります。防火設備を設けることで煙の伝播する量を絞り込める他、煙降下位置を引き下げることができるため煙降下時間を延長できます。