避難安全検証法に向く建物
避難安全検証法は適用に際して向く建物と向かない建物があります。
避難安全検証法は居室の規模が大きいほど検証判定がOKになりやすい傾向 にあります。また、室、特に「火災室」の数が少ない方が防火設備の数も少な い状態で判定をOKにすることができます。つまり、「大きな空間を有しており、 室数の少ない」建物が避難安全検証法に向く建物といえます。
具体的には物販店舗の「ドラッグストア」や「ホームセンター」、「(排煙設備が 必要とされる)工場」や「物流センター」などがあげられます。 「スーパーマーケット」も避難安全検証法がよく採用されている建物です。ただ、 ドラッグストアに比べ室数が多いため防火設備とすべき部分がやや多くなる場 合があります。
「パチンコ店」は規模が小さいとホール部分と事務室部分のみの構成となるた め避難安全検証法に向くといえます。しかし、規模が大きくなると飲食店やコン ビニ、託児所などの機能が増えるため判定をOKにするのにやや苦労、手間が伴います。
工場の中でも「食品系工場」は1室1室の規模がやや小さく居室の数もかなり多 くなる傾向にあるようです。その一方で衛生上の観点などから出入口を有する 室が少ないため天井高さにさえ注意すればそれほど多くの変更を行わなくても 判定がOKになります。そして、避難安全検証法を適用すれば排煙窓を大幅に 削減できるため室内の凹凸を軽減でき虫等の侵入経路を少なくできるためコスト上以外のメリットを享受できます。
オフィスビルの標準階も避難安全検証法の判定がOKになりやすい建物の一つ といえます。ただ、テナントの入れ替えが頻繁である場合、新たなレイアウトが 判定に影響するかどうか検討する手間があります。その反面、レイアウトが排 煙設備の位置にとらわれなく仕様設計より自由にできるというメリットがありま す。したがって、避難安全検証法が適するかどうかの判断は貸す側、管理する 側、使用する側などそれぞれの立場によって異なるのかもしれません。